泣き声が笑顔に変わった“ひとつの風船”の物語
毎日のように繰り返されるきょうだいげんか。
「また取り合いしてる…」「どう声をかけたらいいんだろう」
そんなふうにため息をついたことはありませんか?
実は「どちらが正しいか」よりも大切な視点があります。
それは どちらの気持ちも同じように認めてあげること。
きょうだいげんか、こんなときどうする?
ある日のこと。1歳半の弟が大事そうに抱えていたピンクの風船を、4歳のお姉ちゃんがパッと取り上げました。
弟は大泣き。床に座り込み、必死に取り返そうとする姿に、胸が締めつけられるような気持ちになりました。
一方のお姉ちゃんは、風船をぎゅっと抱きしめたまま黙っています。
その横顔には、ただの「わがまま」ではない何かが隠れているように感じました。
よく見ると、その風船は昨日割れてしまった、お姉ちゃんの大切な風船と同じ色でした。
「エリカ(お姉ちゃん)の、もうないのに…」
小さなつぶやきに、大きな想いがにじんでいて、思わずはっとしました。
泣き続ける弟と、風船を手放せないお姉ちゃん。
「どちらの気持ちを優先したらいいの?」 「どう声をかければ、2人の心に届くんだろう?」
その場で私も迷いながら、子どもたちに向き合いました。
あとから思えば、このとき大事だったのは「解決すること」ではなく、「2人それぞれの気持ちに寄り添うこと」でした。
声かけで子どもの心に届く、ちょっとしたコツ
子どもの気持ちを認める言葉
弟には
「風船とられちゃって悲しかったね。大事にしてたもんね」
お姉ちゃんには
「その風船、ほしかったんだね。かわいい色だもんね」
どちらの気持ちも認めたうえで、こう問いかけました。
「どうしたらよかったと思う?」
「『いっしょに遊ぼう』って言ってみる?」
しばらく考えたお姉ちゃんは、 「いっしょにあそぼう」 そう言って風船を弟に差し出してくれました。
泣き声だった弟も、いつの間にか笑顔に。
(このときはうまくいったけど、3回に1回は「やだー!」で終わることもあります。現実は甘くない)
きょうだいげんかの裏にある、ほんとうの気持ち
- 風船が割れてしまった悲しさ
- もう手に入らないと思った悔しさ
- 大事にしていたものを取られた喪失感
きょうだいげんかの裏には、こんな気持ちが隠れています。
親が寄り添うのは、「どちらが悪いか」ではなく「どう感じたのか」。
そこに目を向けるだけで、子どもたちは自然と歩み寄っていくのです。
兄弟げんか・おもちゃの取り合いに使える声かけフレーズ集
- 気持ちを代弁する
まずは「悲しかったね」「ほしかったんだよね」と声をかける - 両方の気持ちを認める
「○○くんも○○ちゃんも、それぞれ大事だったんだね」 - 考えるきっかけを渡す
「どうしたらよかったかな?」 - 仲直りの橋渡しをする
「『ごめんね』って言えたら、また一緒に遊べるね」
ママも練習中。うまくできなくても大丈夫
私は最初から上手に声をかけられたわけではありません。
言葉が出ないときのために、 声かけの例文を紙に書いてリビングに貼っていました。
チラッと見ながら実践するうちに、少しずつ自然に言葉が出るようになっていきました。
ママだって練習中。
「寄り添おうとする姿勢」こそが一番伝わるのだと思います。
きょうだいげんかに向き合うときのヒント|完璧じゃなくて大丈夫
きょうだいげんかは、どの家庭でも繰り返されるもの。
大切なのは「誰が悪いか」ではなく「どう感じたか」に寄り添うことです。
それだけで子どもたちの心は、少しずつ安心していきます。
完璧でなくても大丈夫。
少しずつ声をかけていくうちに、子どもたちの心にやさしい変化が育っていきます。
よくある質問にママ目線でおこたえします(Q&A)
Q. うまく声をかけられないときは?
A. 紙にセリフを書いて壁に貼っておくのがおすすめ。カンニングで大丈夫です。
Q. どちらかを悪者にしてはいけないの?
A. 「どっちが悪い」よりも「どう感じたのか」に寄り添うほうが前向きになります。
Q. 毎回冷静に対応できなくて…
A. 親も人間。あとで「さっきは怒っちゃったけど、悲しかったんだよね」とフォローすれば十分です。
Q. 下の子ばかり泣いていて、不公平に感じます
A. 泣いている子に寄り添うのは自然なこと。ただしそのあとで上の子の気持ちも言葉にしてあげてください。
Q. 仲直りまでできなくても大丈夫?
A. 無理に仲直りさせなくてもOK。大切なのは「気持ちを伝えられた」という経験です。
まとめ
- きょうだいげんかはどの家庭でもあること。
- 大切なのは「解決」より「気持ちに寄り添う姿勢」。
- 親が寄り添おうとするだけで、子どもの心は安心していく。
泣き声が笑顔に変わる瞬間は、親にとっても大切な経験です。
今日から、声かけをひとつ試してみてくださいね。
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