ひとつの風船、ふたつの気持ち。姉弟が教えてくれたこと 

こども語録&こども行動

ある日、1歳半の弟が手にしていた風船を、4歳のお姉ちゃんが取ってしまいました。

もちろん、弟は大泣き。

――こういう姉弟のやりとり、子育て中のご家庭なら一度は経験があるのではないでしょうか。

お姉ちゃんの気持ちもわかる。
でも、弟の悲しさも無視できない…。

大人にとってはほんの一瞬の出来事でも、そこには小さな心の大きな揺れがありました。


🎈できごと

弟が大事そうに持っていた、ふわふわのピンクの風船。

それを見たお姉ちゃんが、パッと手を伸ばして取ってしまいました。

「あーーーーーー!」と叫ぶ弟。
一瞬で、ぽろぽろと涙がこぼれました。

お姉ちゃんは風船を抱えたまま、しばらく黙っていました。

よく見ると、その風船――実は前の日にお姉ちゃんが持っていた風船と、同じ色だったんです。

前日、お姉ちゃんの風船は不意に割れてしまっていて。

残念だったね、と話していたけれど、心の中ではまだ整理がついていなかったのかもしれません。


🗣そのときの声かけ

まず私は、泣いている弟に寄り添いました。

「○○くん、風船とられちゃって悲しかったね。大事にしてたんだもんね。」

弟の顔を見ると、少しホッとしたような表情に変わっていきました。

次に、お姉ちゃんに目を向けて。

「○○ちゃんも、その風船ほしかったんだね。かわいいもんね。」

すると、ぎゅっと風船を握ったまま、小さくうなずきました。


でも、ただ共感して終わりにはしません。

「○○くんのだったから、急に取られたら悲しくなっちゃうよね。どうしたらよかったと思う?」

考えるのが難しそうだったので、選択肢を見せてみました。

「『一緒にあそぼう』って言ってみる?それか、ほかの風船を探してみる?」

お姉ちゃんはしばらく考えてから、「じゃあ、いっしょにあそぼうって言ってみる」と、風船を差し出しました。

弟は少し迷ったあと、笑顔で受け取り、ふたりでコロコロと転がして遊び始めました。


💡背景の気持ちを代弁する

あとでお姉ちゃんとゆっくり話してみると、ポツリとこんな言葉が出てきました。

「じぶんの、もうないのに…って思ったの」

「そっか。○○ちゃんの風船、昨日割れちゃったんだもんね。悲しかったね。」

「うん」

「○○くんのがキレイで、ほしくなっちゃったんだよね。」

また、小さくうなずいていました。

「でも○○くんも、大事にしてたから、急に取られたら悲しくなっちゃったんだよ。」

「うん…」

「どうしようか?ママ、一緒に考えるよ。」

この「ママはどちらの味方でもない。どちらの気持ちも大事に思ってる」という空気感が、子どもにとって安心になるのかもしれません。


📄実は「カンニング」してました

……でも、実は私、初めからこんな声かけができたわけではなかったんです。

子どもたちが取り合いを始めると、どう声をかけたらいいのか焦ってしまったり、つい感情的になったり。

そんな私がやっていたのが、「声かけセリフ」を紙に書いて、壁に貼っておくことでした。

リビングの目につくところに貼っておいて、いざという時にはチラッと見ながら(カンニングしながら!)、ひとつずつ言葉をかけていったんです。

最初はぎこちなくても、繰り返していくうちに少しずつ自然に出てくるようになって。

完璧じゃなくても、「寄り添おうとしてるよ」という姿勢が伝われば、それで十分なのかもしれません。


🗒カンニング用セリフ例一覧

「取り合い」や「ケンカ」になったとき、私が壁に貼っていたセリフ例を、いくつかご紹介します。


🟡 まずは、どちらかの気持ちに寄り添う

  • 「悲しかったね。大事にしてたもんね」
  • 「くやしかったね。欲しかったんだよね」

🟡 どちらの気持ちも認める

  • 「○○くんも○○ちゃんも、それぞれに気持ちがあったね」
  • 「どっちも、大事だったんだよね」

🟡 どうしたらよかった?と考えるヒント

  • 「もし○○だったら、どうだったかな?」
  • 「『いっしょにあそぼ』って言ったらどうなるかな?」

🟡 仲直りへの橋渡し

  • 「○○くん、○○ちゃんが謝ってくれたら、またいっしょに遊べるかな?」
  • 「いまからでも『ごめんね』してみる?ママがそばにいるから大丈夫だよ」

「セリフ通りに言えない日もある」
「途中でうまくいかないこともある」

それでも、「どうしたらいいかな」と考えるきっかけがあるだけで、子どもへの接し方は少しずつ変わっていくように思います。


🌱子どもが教えてくれたこと

今回の出来事を振り返って感じたのは、子どもの世界には、私たち大人が見落としてしまいがちな「気持ちのドラマ」があるということ。

ただの風船の取り合いじゃない。

そこには、

  • 「風船が割れてしまった悲しさ」
  • 「もう手に入らないと思っていた悔しさ」
  • 「大事にしていたものを取られた喪失感」

そんな小さくて大きな感情が、ぎゅっと詰まっていたんです。


私たち親が「誰が悪いのか」を判断するのではなく、

「何があったのかな?」
「どう感じたのかな?」

そうやって、気持ちの奥を一緒にたどっていくこと。

それが、子どもたちの心の成長をそっと支えることにつながるのかもしれません。


🎭おわりに

姉弟って、ほんとうに毎日が小さなドラマ。

でもその一場面一場面が、子どもたちの思いやりや、優しさや、葛藤を育ててくれる。

そして、私自身も一緒に育ててもらっているんだなと感じます。

今日もまた、子どもたちが小さな心で、大切なことを教えてくれました。


🌼最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
子育ての中で感じた「小さなできごと」の裏にある「大きな気持ち」、これからも大切に書き残していきたいと思います☺️

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